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馬毛島基地計画で防衛省に「特段の配慮」を求めた西之表市長 反対からの方針転換? その真意は
2/20(日) 9:00配信
「馬毛島の『整備決定』で局面が変わった」と強調する八板俊輔西之表市長=同市役所
西之表市馬毛島への米軍機訓練移転と自衛隊基地整備計画に絡み、八板俊輔市長が岸信夫防衛相に提出した要望書が市民に波紋を広げている。整備に伴う米軍再編交付金の交付や隊員居住への「特段の配慮」を求めた上、従来の計画「不同意」の立場も明言しなくなり、事実上の“黙認”“容認”に転じたと受け取られたからだ。要望書に込めた思いや計画に対する考え方を改めて八板市長に聞いた。 【写真】表・馬毛島を巡る主な動き
-要望書の意図は。
「地元の関心はプラス、マイナス両面を含めた基地整備の影響にある。賛否の判断材料と見ていた環境影響評価(アセス)の結果を待つ中、政府は昨年12月に来年度予算案の閣議決定をもって『整備決定』とした。この言葉のインパクトは強く、これまでの状況を吹き飛ばす新たな局面と認識した。市民の計画に対する期待や不安をもう一度整理する必要があった」
「安心安全な暮らしがいかに担保されるかを目に見える形で示してもらうために、市民の今の声を防衛相に伝えた。不安や期待に応えるため、市と国との協議の場を設置することを求めたのが最大のポイントだ」
-交付金や隊員居住で「特段の配慮」を求めた理由は。賛成、反対両派ともに方針転換と捉えている。
「基地ができたとすればという仮定での話だ。昨年12月に種子島への関連施設配備案が示され、西之表市、中種子町と南種子町との間に差があった。賛成派も反対派も、市民の不満がものすごく強かった。馬毛島は西之表市に属するので、両町との取り扱いをしっかり見極めてくださいと伝えたかった」
-昨年の市長選挙で再選を後押しした反対派は後退と受け止めるのでは。
「新しい局面での対応を理解してもらうしかない」
-防衛相との面会後の会見などで「私の考えは変わらない」と繰り返した。
「市民の安心安全な暮らしを守るため、国との透明性や信頼性の高い協議が必要という考えが変わらないということだ」
-計画「不同意」の考えは維持するのか。
「整備決定という新しい局面を迎え、賛否や同意不同意は言えない。判断材料をそろえることを優先させたい」
「2020年8月に当時の防衛副大臣が馬毛島の施設整備案を突然示した。その後の防衛省とのやり取りで疑問は拭払(ふっしょく)されず、同年10月に『失うものが大きく、現時点で計画に同意できない』との所見を発表した。それから判断材料に大きな変化はないが、新しい局面でさらに材料を集めなければいけなくなった」 -何を材料に、いつ賛否を判断するのか。
「最終的にはアセスの評価書を見てからだ。新たな国の動きも出たため、国との協議を通じて市民の安心安全な暮らしをどう守るかという点も判断材料に加わった。安心安全の担保が市民の混乱や地域社会の分断の回避につながると思う」
-中種子、南種子の両町長が計画への賛意を示し、岸防衛相は塩田康一知事との12日の面会で「1市2町と防衛省が同じ方向を向いて取り組む新たな段階に入った」と述べた。
「同じ方向とは、首長と防衛省が協議していくことで、われわれの要望に前向きに応えると伝えかったのではないか」
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